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いじめの影響の重大さ|本願寺新報コラム16
本願寺新報 2022(令和4)年7月20日号 掲載
コラム「生きづらさ感じていませんか?」
いじめの影響の重大さ
2020年に発表されたユニセフの報告書「レポートカード16」によると、日本の子どもの幸福度は先進38カ国中、総合20位です。内訳は、身体的健康度が1位、精神的幸福度37位、数学や読解力と社会的スキルで27位でした。つまり、日本の子どもは身体的には世界一健康である一方、精神的幸福度は先進国中ほぼ最下位なのです。
この報告書で私が特に認識を新たにさせられたことは、いじめの影響の重大さです。子どものスマホ(インターネット)の利用時間が世界的に増えており、このことが子どもの精神的健康に負の影響を与えていることは皆さんもある程度想像されると思いますが、その4倍もの負の影響力を持つ最悪のものが、「いじめられることである」とデータが示しています。
月に数回以上いじめを受けている子どもの方が、そうでない子どもより生活満足度が低いという結果がすべての国において示され、日本は特にこの傾向が顕著です。これらを受けてユニセフの報告書は日本へのメッセージとして、いじめは昔の考えではたいしたことではなかったものの、今の考えでは、長期的に人生に影を落とす深刻な問題であり、保護者、学校、人々の意識と行動を変えていく必要があること、具体的には、子どもや若者へのメンタルヘルスのサービス提供を急ぐこと、を提言しています。
日本の別の調査では、子どもの7割がいじめの加害者になり、8割が被害経験を持っているそうです。自坊の土曜学校で、自分と人との優劣を比べることの話をしたことがありました。子どもたちに学校で友達にいじられたり、仲間外れにされた経験があるかを聞いてみたところ、10人中8人ほどが「ある」と答え、何人かはその時の状況や気持ちも教えてくれました。
できる限り先生や親など話せる人に伝え、解決に動いてもらうことが正しい方法であり、大人には解決をする責務があることは強調しました。一方、気持ちを語ってくれたことで、自分は一人ではなく、ここのメンバーは同じような思いを経験している仲間であるという安心感が、その場に生まれたように、私自身は感じました。
ちなみに、毎月やってくる3年生と4年生の男子は、いつもお互いに自分が相手より上であろうと小突きあったり、妙に仲良くなったりをくり返して、手を焼いているのですが、やはり二人とも学校でつらい思いをしているようです。子どもたちが日常的に人との優劣や自分のポジションに敏感になっているかを痛感するとともに、私たちのことを他の誰とも比較なされない阿弥陀さまの教えを聞く土曜学校の意義を再認識しました。
子ども・若者ご縁づくり推進室マネージャー
藤間 幹夫