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レポート

「女性の身体と妊娠、避妊」宋美玄さん|第3期 思春期・若者支援コーディネーター養成研修会

「思春期・若者支援コーディネーター養成研修会」は僧侶・寺族を対象として、思春期・若者の生きづらさについて理解を深める研修です。

今回の講師は、産婦人科医であり、朝の情報番組などのメディアでも活躍され 宋 美玄(そん みひょん)先生です。(講義実施日:202162日)

本記事は、スタッフの葛野(かどの)が、受講して興味をひかれたことをレポートします。


「自分の身体を自分で決められるように」お手伝いしていると話す宋先生。自分の身体のことを自分で決める、そんなことは当たり前では?と思いませんか。

女性の身体で大きな特長は月経があることです。月経に関わるホルモンによって、自分の意思に関わらず、ジェットコースターのように変化するホルモンに左右されることがあります。

月経のある女性は、生理痛や月経前にイライラやだるさなどを生じる月経前症候群(PMS)のため、1か月の3/4が不調になりがちです。しかも、現代の女性は、12~13歳の思春期から50歳ごろまで毎月の月経と付き合わなければなりません。

自分の身体なのに、40年近くもホルモンに振り回されるなんて、女性の身体として生まれたことは損でしかないのでしょうか...。


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(講義のスライドより)


そんなことはありません。重い生理痛や月経前症候群(PMS)はコントロールすることができます。低用量ピルの服用などで、ホルモンバランスの振れ幅を穏やかにできます。

低用量ピルの服用は、避妊にも役に立ちます。月経のある思春期から50代ごろの女性にとって、子どもが欲しいと思う期間は短いものです。自分のライフスタイル、ライフステージに合わせて、月経や月経に伴う不調、避妊や出産コントロールすることができます。


BB.png(講義のスライドより)


宋先生が「私が好きなグラフ」と、年齢別出生率のグラフを紹介されました。1930年代の出生率グラフを見ると、30代半ばから40代にかけても妊娠出産しています。男女共に若い方が妊娠はしやすいですが、人間の生殖能力は、「35歳過ぎたら妊娠できない」というものでもないのです。


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(講義のスライドより)


将来子どもがほしい人には、妊活の前に取り組むと良いことも教えてくださいました。

ふだんの健康を維持しながら、さらに風疹やはしかの予防接種、子宮頸がんなどの婦人科検診も大切です。


DD.png(講義のスライドより)


子宮頸がんは、ワクチン接種での予防ができます。HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)は、安全性が確認されたワクチンです。セクシャルデビューをしていてもいなくても、パートナーがいてもいなくても、早めの接種が勧められています。

セックスや女性の性反応に詳しい宋先生。ご著書には『女医が教える 本当に気持ちのいいセックス』があります。人の性反応について、男性も女性も、脳の興奮から始まりオルガズムを経て元に戻るという仕組みは同じです。ですが、女性の場合は、さまざまな性反応があるため、挿入によってオルガズムに達しないこともあります。セックスに悩む女性は、「自分だけが挿入でイケない」と深刻に思い詰めなくてもいいのです。


ee.png(講義のスライドより)


特に若い世代の女性には、「初潮が来たらかかりつけの婦人科をもってもらいたい」と話されました。婦人科は、妊婦さんのためだけではなく、10代の生理や妊娠の不安を解消できる場所です。

思春期の方からの相談があれば、「婦人科のホームページを見てみるようなアドバイスもいいかも」と関わり方の工夫も教えてくださいました。


ff.png(講義のスライドより)





【編集後記】

今までなんとなく知ったつもりになっていた月経、妊娠・出産、さらにHPVワクチンについて、適切な知見を教えていただきました。

医療の力を借りることで、女性が自分の身体について「仕方のないこと」と諦めることなく、自分の意思やライフスタイルに合わせてコントロールすることができると、勇気づけられる講義でした。

次回の「思春期・若者支援コーディネーター養成研修会」は、2022年10月からスタートします。オンライン講座を中心にしながら、本願寺にて2回のスクーリングを実施します。現在申込み受付中ですので、ご関心のある方は下記より詳細をご覧ください。一緒に学び合える仲間と出会えることを楽しみにしています。

第4期 思春期・若者支援コーディネーター養成研修会 募集





【講師】宋 美玄(そん みひょん)

産婦人科専門医、医学博士、丸の内の森レディースクリニック院長。大阪大学医学部を卒業後、大阪大学医学部付属病院産婦人科に入局。周産期医療を中心に産婦人科医療に携わる。University College of London Hospitalに留学し胎児超音波を学ぶ。『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(ブックマン社)、『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK』(メタモル出版)の他、近著に『産婦人科医が伝えたいコロナ時代の妊娠と出産』(星海社新書)、『医者が教える 女体大全』(ダイヤモンド社)など著書多数。女性の性、妊娠、出産について積極的な啓蒙活動に励んでいる。



【執筆者】葛野 憂利華(かどの ゆりか)

京都市在住の浄土真宗本願寺派僧侶、臨床心理士、公認心理師。ふだんは、スクールカウンセラーとして、思春期真っただ中の生徒へ、「ちょっと不安があっても、自分らしくやっていける」ように、カウンセリングやサポートに取り組んでいる。浄土真宗本願寺派子ども若者ご縁づくり推進室委員。





【研修情報】

思春期・若者支援コーディネーター養成研修会
主催:浄土真宗本願寺派 子ども・若者ご縁づくり推進室「思春期・若者支援部会」
お問い合わせ:goen@hongwanji.or.jp
SNS情報:子ども・若者ご縁づくりFacebook

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