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レポート

「どんなキャラになりたいですか?」寺院伴走支援レポート03

寺院伴走支援事業は、これまで「スクール・ナーランダ」で培ったノウハウを活かしつつ、お寺の魅力を最大限に引き出すため、日々お寺の活性化に取り組む当室「若者ご縁づくり部会」の委員が支援を行い、ご住職様をはじめ、寺族・門信徒の皆様と共に企画運営を行います。


これまでのスクール・ナーランダの様子はこちら!
▶︎現代版寺子屋「スクール・ナーランダ vol.1 京都」の様子はこちら
▶︎現代版寺子屋「スクール・ナーランダ vol.6 山口」の様子はこちら


今回は、
伴走寺院として決まった大阪府堺市の正覚寺さまの住職・副住職・若坊守と、伴走メンバーの初のオンライン顔合わせ。正覚寺さまの想いやこれまでの活動、活動を通して生まれた課題をお聞きしながら伴走メンバーが感じたことやアイデアなどを対話しました。


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舟川:まずは、今回お申し込みいただいた理由や想いについて、お聞かせいただけますでしょうか。


正覚寺
:数年前、宗派が実施する寺院サポート講座「お寺のビジョン作成研修」に参加しました。そのなかで周辺地域の特性であったり、地域課題を調べ、お寺でやりたいことを総代さんと一緒に考えました。私(若坊守)がホームページ作成教室に通い、お寺のWEBページを自作し、LINEやInstagramでの情報発信、寺報を作成するなど外部発信に積極的に取り組んできました。

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正覚寺だより


その一環で、2年ほどバザーを実施してきました。売上は、宗派が実践するダーナ募金に寄付しました。ご門徒さんにお願いするとバザーの物品は集まるのですが、参加者として来てもらう人が少ない。綺麗なランドセルなど良いもの、まだまだ使えるものがあるけど、買って帰ってくれる人が少ない。バザーを続けていく意欲が落ちていきました。

バザーをやってみて分かったこと

・お寺の存在を地域の方に、知ってもらっていない
・知ってもらう手立てがわからない
・イベントするのも、どうしたらいいのかわからない
・本堂も境内もそんなに広くなく、小さなお寺はどうしていったらいいのか?


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正覚寺での子供用品チャリティバザーの様子


安武:様々な実践の様子を聞いて、活力が素晴らしいなと感じました。お寺の強みはなんですか?


正覚寺
:駅が近く、交通の便が良いのは強みになると思います。住宅街ですが、大阪の中心まで電車で30分ほど。興味を持ってもらえるような取り組みが実施できれば、お寺の周辺だけでなく、市内の方にも遊びにきてもらえると思っています。あと便利が良いので、30代40代ぐらいの子育て世代も多く住んでいます。地方のお寺の話を聞くと、周辺に若い世代が居ないとよく聞くので、そういった意味では、うちの強みになり得るのかなと感じています。


舟川:子育て世代が多いというのは、人口流動が多く、地域に溶け込めない人、地域との接点がない人も多いかもしれませんね。特に子育て世代だと育児に悩み、孤独感が生じる人もいるかもしれません。私のお寺も駅の近くにあって移住してこられる方も多く、お話を聞いているとそのような苦悩を抱える人もおられました。

お寺はそこにあり続けます。お寺に行けば知っている住職に会える、と思ってもらえると、お寺のぬくもりが伝わり、心が和らぐ場所になれるかもしれないなと感じました。


安武:先ほどのバザーの売上は、ダーナ募金に寄付されたと教えていただきました。もちろんそれも一つの選択肢だなと思いつつ、より自分たちにとって近くの、目に見える取り組みに寄付すると共感が集まりやすいのかなと思いました。

私のお寺では、納骨堂のお供えものは、地域の児童養護施設に寄付しています。そうするとその施設の方もお寺のことに関心を寄せてくれますし、ご門徒さんも良いことだねと共感してくれます。寄付する側もその取り組みや活動を応援したいと思っていることも大切です。大きな団体だから良いというわけではないように思います。

2016年の熊本県地震で益城町は災害の影響が強く、多くのお寺でも被害にあいました。少しでも力になれたら良いなと想い、自坊で寄付を呼びかけると10万円ほど集まりました。私は、そのお金を赤十字社に寄付するのではなく、お寺や地域を励ます催しができないかなと考えました。これまで、自分のお寺で様々な催しを行ってきていたので、そのつながりやノウハウを活かしてアーティストや布教使、飲食店の方々に協力してもらい、復興イベント「皆乗寺まつり」を実施しました。


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益城町での復興イベント「皆乗寺まつり」の様子


安武:当日も多くの来場者があり、とても賑やかな場になったのですが、後日その様子が新聞に掲載され、その記事がきっかけとなり、文化財を研究している人から連絡があり、調査してみると、歴史的に重要な場所であることがわかり、県の文化財として指定されることになりました。その結果、本堂修復の補助金が出ることとなりました。元は10万円の寄付だったのですが、その取り組みやお寺の想いへの共感が集まることで、想像もできない広がりをつくることができるんだなと学びました。


正覚寺
:そういった大体的なお寺のイベントを実施してみたいと思うのですが、なにせ本堂も境内地も狭いので難しいなと悔しく思います。


麻田:お寺の小ささをネガティブにとらえているように思いますが、小さいからこそ顔の見えるイベントを実施できるし、より濃ゆいつながりができるのではないでしょうか。お寺だけでの実施が難しいなら、
周辺を巻き込んでいくしかない。

よくよく考えてみると、「小さい」というのは、他のお寺と比較しているのだと思います。だけど、古民家や小さな飲食店でイベントを実施して、多くの人が集まってるケースっていっぱいありますよね。お寺は他の施設より広さがある。小さいから人が集まらない理由にはならないし、実践できない理由にもならないように感じます。

私は動物が好きなのですが、お寺で動物好きなイベントを実施しました。イベントのテーマを絞りまくると、そこに惹かれる濃ゆい人たちが集まってくる。人がいっぱい集まることも賑やかで良いですが、より強い関係性をつくることだって可能ですね。

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極楽寺「動物大好き夜会」のチラシ


正覚寺
:子どもたちの夏休み自由研究の宿題の役に立てばいいなと考えて、メダカの講習会を開催しました。ご門徒さんや近くのメダカ屋さんに協力してもらいました。やってみると子供は来なくて、メダカ付きの大人が集まりました(笑)。確かにそれはそれで楽しかったです。


霍野:今回の事業を通して、正覚寺さんはどんな景色を見てみたいと思われますか?どんな方たちが集まるとハッピーですかね?その人たちにどんな表情になってほしいか。笑顔なのか、安心した表情なのか、思考がめぐってキリッとした顔つきなのか。


正覚寺
:パッと思い浮かんだのは、子どもだけじゃなくて、親も一緒になって楽しんでほしいです。お寺で親子が笑顔になってる様子を見てみたいです。

私(若坊守)は塾の講師など、教育に関わることに長年携わっているので、将来はお寺で子どもの学習支援ができれば良いなと思っていました。


麻田:正覚寺さんは、どんなキャラがしっくりきますかね?お寺が地域でどんなキャラとして認知されたいのか、どんな役割を担っていきたいのかが、はっきりしてくるとテーマが絞られそうですね。


藤井:なぜ学習支援を実施してみたいのか、その根っこにある想いを聞いてみたいなと思いました。その根っこの想いから、催しのテーマが見えてくるかもしれません。次回の打合せでは、この事業を通して、どんな方に何を届けたいのか、何故そう考えたのかをお聞きしたいです。



あとがき:

今回が初顔合わせでしたが、正覚寺さまの想いや実践をお聞きしながら、伴走メンバーのアイデアを交換する、あっという間の1時間でした。今回のような対話を通して、催しの目的やテーマを磨いていければと思っています。また進捗や様子を、随時報告いたしますので、ご関心をお寄せください。

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